個人事業主インボイスどうする?解説します
インボイスってなにー?
いよいよ令和5年10月1日より「インボイス制度」が開始されました。
所得が減る事だけはわかっていたのですが、どうみても面倒なので今まで見て見ぬ振りをしていました。
個人事業主である以上、登録するしないなりの対応しないといけないので、重い腰をあげて考えることにしました。
崇高な税制の考えや細かい制度の解説は、他にいくらでもあるので、ここでは「インボイスを考えるのも面倒な個人事業主に、メリット、デメリット、やるべき事」を解説します。
読むのも面倒な人!
記事の「太文字」と「マーカーで色の付いている部分」だけ読めば大体わかりますよ。
- 軽バンでの仕事歴10年
- 長距離からウーバーイーツまで幅広く稼働
- 軽貨物のみの売上は年間500万円以上
インボイス制度とは
実は今まで消費税を免税されていた
今まで個人事業主として発注主(荷主等)からもらっていた報酬には、実は消費税が含まれていました。
請求書を書く人ならともかく、最近はギグワーク(マッチングアプリ)メインの人も多いので、消費税にたいする感覚がないのは無理がないと思います。
アマゾンフレックスもウーバーイーツも、毎度支払われる金額には消費税が元から含まれています。
今の税制でも年間の売上が税込1,000万円以上の個人事業主は、消費税10%を納めていました。
いままで自分たち実は消費税分まるまる報酬としてもらっていたんですよね。(免税業者扱い)
いままで非課税だった私達も、消費税を支払わなければいけなくなる可能性があるのが、インボイス制度です。
実際のインボイス制度は、仕入れに関する消費税を発注主(荷主等)がどう負担するかに関する税制ですが、あくまで個人事業主の目線からの、損得を今回は考えたいのでその部分には触れません。
インボイス制度とは「適格請求書保存方式」のこと
- 制度開始後に消費税を納める人は課税事業者となり「適格請求書発行事業者」になります。
- 今後も消費税を納めない人はそのまま「非課税事業者」になります。
課税事業者になるには、税務署に届けを出し登録番号を発行してもらいます。「適格請求書発行事業者」になると取引先が要求した場合に適格請求書を発行し、適格請求書のコピーを自分で保存しておかなければならない2つの義務が生じます。
普段から請求書を書いている方は「適格請求書」の書き方に沿った請求書を発行しなければいけませんが、難しいものではないですし、無料の請求書作成サービス「弥生のMisoca」でもインボイスに対応しています。
ギグワークメインの軽貨物個人事業主は、普段請求書を作成しませんがアマゾンフレックスやウーバーイーツなどの運営に、課税事業者として登録番号を連絡する事になります。基本番号さえ通知すれば運営会社の方で手続きしてくれると考えてよさそうです。
インボイス対応できてますか?
課税業者と非課税業者のメリットデメリット
非課税事業者の消費税は誰が払うのか
自分が「課税事業者」になると、確定申告で消費税を確定し納税します。「非課税事業者」を選択した場合いままで通り消費税は支払わないわけですが、実はインボイス開始後に非課税事業者と取引した分の消費税は、発注主(荷主)が支払う事になります。
発注主からしたら「そんなの非課税事業者と取引したら損」ってなりますよね。表向き課税・非課税どちらでもいいですって言ってたとしても、実際は厳しそうです。
特に軽貨物の場合、ドライバーはいくらでも変えがきくほどいますから、実質非課税事業者でやっていくのはかなり厳しいいのではないかと思っています。
ギグワーク各社のインボイス対応状況
では、ギグワーク(マッチングアプリ)のインボイス対応はどうでしょうか。
アマゾンフレックスのインボイス対応
- 公式発信で、インボイス開始後も課税事業者・非課税事業者区別なく、オファーが受けられ消費税も支払う、とアナウンス。
- 課税事業者になると約2%の消費税を確定申告で支払わなければいけない
アマゾンフレックスに関しては、課税事業者になると損をすることになります。
ピックゴーのインボイス対応
- 課税事業者にはポイントを2%〜8%加算
- 非課税事業者はポイントを2%〜7%マイナス
インボイス開始前の説明は上記の通りでしたが、ピックゴーはインボイス開始後に免税事業者の報酬を約10%減額しました。
課税事業者に関しては、ほぼ開始前と同水準の報酬になっています。ピックゴーメインの人はインボイス登録した方が良いでしょう。
事前説明無しにいきなりの約10%報酬減額は、ちょっと問題があります。
今後の動きに注目です。
ウーバーイーツのインボイス対応
ウーバーイーツもアマゾンフレックスと同様に、当面は課税・非課税の区別なく仕事を受けれるようです。
出前館のインボイス対応
出前館は登録ドライバーへメールにてインボイス対応を表明しましいた。
インボイス制度が開始した後も当面の間、消費税に対する対応は変更いたしません。
インボイス制度を利用しない配達員様の報酬に対しても、消費税相当分を調整する等の対応は行わない方針です。
今後この方針を変更する可能性もございますが、その場合は予めご案内いたします。
出前館も、課税・非課税の区別なく仕事ができるようです。
税率軽減!インボイスの特例措置
実際には所得が10%減るわけではない
渋々課税業者になり所得が減るのか...と落ち込みたくなりますが、特例が設けられています。
割引制度その1【簡易課税制度】
小規模な業者の消費税計算等負担を軽減するために設けられたのが「簡易課税制度」
課税登録と別に届けを出す必要がありますが、運送業の場合売上の約5割(5%)負担となります。
業種により割合は異なります。
割引制度その2【2割特例措置】
さらに「2割特例措置」というものがでてきました、これは制度開始後4年間は消費税の2割(2%)を納めればよいという制度です。特に届出を出す必要もないので、1,000万円以上の売上がない個人事業主は2割負担からのインボイス制度スタートとなります。
インボイススタートから4年間は自動的に2割(2%)納税
それ以降は簡易課税制度利用すれば5割(5%)負担という流れになります。
簡易課税は業種により負担率が違います。
納税割合 | 売上の制限 | 届出 | |
2割特例措置 | 2割(約2%) | 2年前の売上が1,000万円以下が対象 | 必要なし |
簡易課税制度 | 5割(約5%) | 2年前の売上が5,000万円以下が対象 | 届出必要 |
インボイスの登録方法
インボイス制度は令和5年10月1日より制度開始となり、開始同日より課税業者となる場合は9月30日が書類の提出期限となります。
現在書類提出から、登録番号発行まで約1ヶ月ほどかかるようです。
課税業者になる場合 | 届出書を税務署へ提出・郵送・e-Taxも可能 |
非課税業者になる場合 | 届出等とくにやる事はなし |
課税業者が非課税に戻る事も可能
届けを出して課税事業者になったけどやっぱり非課税業者に戻したいです、という場合「登録取消届出書」を出せば非課税業者に戻る事が可能です。
ただし、一度課税業者になった場合は2年間、縛りが生じます。
令和6年1月1日より課税事業者になった場合は、取り消し届けを出しても、令和7年の12月31日までは課税業者のままとなります。
副業の場合インボイスどうなる
事業収入のある場合インボイス制度は例外なく対象となります。
軽貨物開業届出さない人のインボイス対応は
開業届を出さずに副業等で事業を行ってる人も、取引先に対応を求められれば課税登録せざる得ない状況になります。
「いや、開業届だしてないけど..」国税庁に確認したところ、開業届を提出していなくてもインボイスの課税事業者登録はできます。
じつは開業届を出していなくても、確定申告をした時点で開業届を出したのと同等の扱いになるそうです。
インボイスに対しやるべきこと
消費税計算に会計ソフトは必須か
仕入れの無い軽貨物場合など経理がさほど難しくないので、エクセル等で帳票つけてる方がいますが、インボイス開始後は消費税計算等、専門かつ複雑な経理処理が必要になるので、これを機にクラウドの会計ソフト導入をお勧めします。
確定申告の準備できてますか
インボイス登録と簡易課税事業者登録まで無料!のサービス
「インボイス登録申請ナビ」はFreee内のサービスです。基本フォームに入力するだけで申請書類が作成できます。そのままe-Taxに連携して送信までできるので超楽!
「簡易課税事業者登録」まで無料で対応しているのは驚きです、インボイス登録予定の方
Freeeのリンクバナーより無料登録のうえご利用ください。
Freeeは無料で使えるサービスが多いので、他の会計ソフト使用してる人も登録だけでもしておくのがオススメです。
まとめ
インボイスのまとめ
- 課税事業者になるか非課税事業者になるかは慎重に検討
- 特例措置があるので10%丸々はもってかれない
- 今のところ、周りの業者の様子みてから動いても損しなさそう
じっくり考えて決断しようね!
インボイス制度開始はすべての個人事業主にとって大きな転機になりそうです。
特に軽貨物だけをみても課税業者にならない事によるデメリットばかりが見えてきたのが事実です。
しかし、今後も個人事業主として生きていくためには、これをきっかけに仕事の取り方なども見直してみる機会なのかもしれません。
簡易課税など簡単に触れましたが、特例終了後多くの人が利用すべき制度だと思うので、さらに学んでいただく事をお勧めします。
国税庁インボイス申請 |
簡易課税制度 国税庁 |
最後までお読みいただき、ありがとうございます。他にも個人事業主の方に役に立つ記事が多数ありますので、是非お読みください。